東京都で見られる野鳥を、主に写真で紹介するコラム「東京“鳥”散歩」。
第21回目の“ゲスト”は、オナガガモです。
2018年は冬の到来が遅く、冬鳥の飛来も遅く感じましたが、
やっと各所で出会えるようになりました。
冬鳥とは日本より北の地で繁殖をし、日本で冬越しをする鳥のことです。
カモ類は比較的じっくりと観察できるので、
冬鳥の入門にカモの仲間はおすすめです。
僕が冬鳥の勉強を始めたのは、
上野の不忍池と皇居外苑濠、そして葛西臨海公園でのカモの仲間でした。
今回ご紹介するのは冬鳥のカモの中でも、比較的よく見かけることができて、
見分けやすいオナガガモです。
名前の尾長(おなが)は特にオスの中央尾羽が
長く尖っていることに由来しますが、
メスも他の種よりは長いように感じられます。
オスはチョコレート色をした頭部で
白い胸から後頭部にかけて立ち上がるように白線模様が入ります。
腹部は黒に白い縁取りのある細かい羽模様で、背面は灰褐色です。
対してメスは一様に褐色で、
よく観察すると、淡褐色に黒褐色の斑点が混じることで褐色に見えています。
胸から腹部、背面も一様に褐色で、
クリーム色の縁取りがある褐色の羽模様が連なります。
前述したように比較的よく見かけるカモで、
自然度の低い、時にはコンクリートで覆われているような
都市部の池にも顔を出すことがあります。
これはオナガガモが餌付けされやすいカモであることと
関係があるように見受けられます。
オナガガモが多数見られるような場所では餌付け、餌やりをしている光景を
よく見かけますし、人が近づいても逃げないどころか
顔を上げて近づいてくる個体も少なくありません。
餌付け、餌やりの問題点については様々なところで提起、議論されていますが、
普段、環境教育の現場にいることが多い僕としては、
野生動物との距離感のとりかたやつきあい方を学ぶ上で、
人が過度に、そして個体に積極的に関わる餌付け、餌やりは
好ましくないと考えています。
中には野鳥撮影の方が近くで綺麗に野鳥を撮影するために
餌付けしている現場を見かけることもあり非常に残念です。
この記事を「餌付けや餌やりはダメなんだ」ではなく、
「餌付けや餌やりは悪いことなのかな?」
「餌付けや餌やりに何か問題はないのかな?」
「問題になるとしたらどんな問題があるのかな?」
など、考えたり学んだりするきっかけにしていただけたら幸いです。
文&監修:三森典彰
*写真:三森典彰、山崎高志