東京都で見られる野鳥を、主に写真で紹介するコラム「東京“鳥”散歩」。
第23回目の“ゲスト”は、アトリです。
漢名では「花鶏」、台湾では「花雀」と書くようですが、
その名の通り花のような多彩な色合いの鳥です。
冬鳥なので、日本では通常秋から春先まで見られます。
日本にいる間の鳴き声は、僕には「キョッキョッ」「キュキュキュキュッ」、
または「チュイチュイ」「ジュイジュイ」という感じに聴こえます。
喉元から胸、そして肩部にかけて淡い橙色で、
肩から翼の先にかけて、橙色と乳白色、黒褐色が交互に入り組んだ
複雑で華やかな印象の体色をしています。
また、春先、北の地へ渡る前のアトリの群れに
頭部から背中にかけて黒色、
または日が当たると黒紫色に見える個体を見つけることがありますが、
これは繁殖羽のオスです。
「日本にいる間に既に繁殖の備えをして準備万端なのだなぁ…」と、
彼らが北の地に渡った先の生活のことに想いを馳せるのも一興です。
文&監修:三森典彰
*写真:三森典彰