東京都で見られる野鳥を、主に写真で紹介するコラム「東京“鳥”散歩」。
第25回目の“ゲスト”は、ハシブトガラスです。
カラスと聞いて知らない人はいないでしょうが、日本に何種もカラスの仲間が生息していることを知っているでしょうか? 中でも都会で最も多く見かけるのがハシブトガラス。そうです。ゴミを漁って散らかし、煙たがられているあのカラスたちです。
「あれ?どっちかな?」と見分けに悩む種としては、ハシボソガラスがいます。ハシブトガラスはハシボソガラスより多少大きく、また嘴が太くて上嘴が強く湾曲します。鳴き声も見分けるポイント。ハシボソガラスが「ガァーガァー」としゃがれたような声なのに対し、ハシブトガラスは「カァーカァー」と甲高く澄んだ声をしています。ほかにおでこが出っ張るかどうかというポイントもよく耳にしますが、どうやら角度や状況によって出っ張っているように見えないことも多く、ここを見分けのポイントとすると間違えることも多いのではないかと感じています。
ハシブトガラスは、英名にJungle Crow(ジャングルクロー)とあるようにどちらかと言えば、森林や立体的な環境に適しているようで、ハシボソガラスは田んぼや草地など比較的開けた環境を好んでいるように思います。
「なんだぁ、カラスか」「カラスのやつめ!」なんて軽んじて見られたり、嫌われ者になることも多い鳥ですが、光の当たり方によって様々な色味に変わる美しい羽色や、非常に豊かな表情、都会に馴染み、したたかに生きる逞しい姿に見とれてしまうこともしばしばで、僕は大好きです。今回紹介する写真もそのあたりを少しでも伝えられたらと思って選びました。
ぜひ一度、素通りせずにじっくり観察してみてください。彼らは人の近くで賢くしたたかに生きていますが、あなたが気にするようになると今までよりも距離が遠くなってしまうこともあります。カラスを煙たがるのではなく、カラスに煙たがられる人生も面白いかもしれません。かくいう僕も、視線を、レンズを向けるたびにつれなく飛び立たれてしまいます(涙)。
文&監修:三森典彰
*写真:三森典彰