東京都で見られる野鳥を、主に写真で紹介するコラム「東京“鳥”散歩」。
第16回目の“ゲスト”は、カワウです。
カラスと並んで印象があまり良くない黒い(と思われている)鳥「カワウ」。
漁業上有用な魚類を食害、また、ねぐらや繁殖地の樹木を排泄物によって
枯らしているというニュースなどがその要因ではないかと思います。
確かにそういう側面もあるでしょう。
でも、ちゃんと観察すれば、
その美しさや愛嬌ある行動に気づくのではないでしょうか。
個人的には光の当たり具合によって変化する、
暗色光沢のある羽根の色彩と、
赤茶色のうろこ模様でちりばめられた翼のコントラストが好きです。
このうろこ模様が時にコーヒー豆に見えなくもないです。
冒頭で「黒い(と思われている)」と書いたのはそういうことです。
鵜(ウ)と言えば鵜飼が有名ですが、川での鮎漁なのに、
カワウではなくウミウが用いられています。
なぜなのか!? 調べてみたら
「体が大きくて力が強いうえ、我慢強くて比較的おとなしい性格だから」
(*長良川鵜飼HP参照)だそうです。
潜水して主に魚類を捕らえて食べるカワウですが、
潜水はうまくても浮いているのは得意ではなさそうです。
これは他の水鳥と比べて羽根に水を弾くための油分が少ないからだそうです。
そのためか、ある程度捕食を繰り返した後は浅瀬や岸の上、
樹上やテトラポットなどの上にあがり、翼を広げて乾かし、
入念に羽根繕いをしている姿が見られます。
文&監修:三森典彰
*写真:三森典彰