東京都で見られる野鳥を、主に写真で紹介するコラム「東京“鳥”散歩」。
第20回目の“ゲスト”は、エナガです。
今回ご紹介するのはエナガです。
最近は北海道に住む亜種のシマエナガが
写真集などで広く知られるところとなり、
「むちゃくちゃかわいい!」と有名になりましたが、
東京でも晩夏から早春にかけて、
特によく見かけるエナガだって負けていません。
和名のエナガは、長い尾と丸い体が柄の長い柄杓のように見えるところから
付いたようで、江戸時代からこの名が当てられていたようです。
おでこからお腹にかけて白く、肩や脇からお尻にかけては淡い桃色、
眼の上部から背中にかけてと翼の上面が黒色をしています。
冬になるとよくシジュウカラやヤマガラ、コガラなどと
ゆるやかな混群(*1)を作って
一緒に小移動を繰り返す場面に出会うことが多くなります。
東京の平野部でも大きな緑地などでは繁殖が見られることもあります。
僕もいくつか見つけたことがありますが、コケや地衣類(*2)を
蜘蛛の巣などを使ってつなぎ合わせて、樹皮に擬態させて作る巣は見事です。
この時期は親鳥の尾羽が曲がっているのもよく見かけます。
狭い巣の中に体を押し込んでいるからでしょうか。
しかし残念なことに、僕が見つけた巣はことごとく放棄、
もしくは破壊されてしまいました。
カラス類やイタチなど、捕食者もたくさんいるので仕方ないのですが、
一度、巣作りから巣立ちまでを追って観察してみたいと思っています。
(*1)混群:別種同士が集まって群れを作ったもの。
(*2)地衣類:菌類のうち藻類(シアノバクテリアあるいは緑藻)と
共生するようになったもの。コケに似ているが別物。
文&監修:三森典彰
*写真:三森典彰、山崎高志